スマートフォンでメールを読む社員がいるときの標的型メール訓練のポイント
更新日:2026年9月27日 作成:メール訓練比較ラボ 編集部(調査の方法と編集の方針)

スマートフォンで訓練するときのポイント:概要
外出先や移動中に、スマートフォンで会社のメールを読む社員もいます。使われるアプリは、Outlook モバイル(Outlook for iOS・Android)、Gmail アプリ、端末に最初から入っている標準のメールアプリなどさまざまです。
スマートフォンで読むときは、パソコンと比べて次の違いがあります。
| 違い | 訓練への影響 |
|---|---|
| 送信元の表示が少ない | 送信元を見て怪しさに気づくのが、パソコンより難しい |
| リンク先を確かめにくい | Gmail ヘルプが勧める「押す前にリンクにカーソルを合わせて確かめる」方法は、パソコン向けの案内 |
| アプリごとに機能が違う | 警告の表示や報告ボタンの有無が、アプリによって変わる |
訓練の結果を読むときも、教育の内容を決めるときも、この違いを前提にします。
訓練メールを確実に届ける設定
訓練メールを届ける設定(許可リストなど)は、管理者がメール環境の側で行うもので、パソコンで読む社員向けの設定と共通です。利用しているメール環境の設定と、訓練サービスの提供会社の案内に従ってください。
そのうえで、スマートフォンでは次の点を確かめます。
- リンクの検査:Google Workspace では、iOS のメールアプリや一般的な Android のメールアプリなど IMAP(メールを読むための方式のひとつ)で読むアプリに対しても、リンクをクリックしたときに安全か確かめる機能を管理者が有効にできます。Microsoft 365 では、安全なリンクの設定と Outlook のバージョンによって、訓練のリンクがクリック時に脅威として扱われるかどうかが変わると説明されています(Outlook for iOS・Android も説明の対象)
- リンク先の表示:訓練のリンク先のページ(種明かしのページなど)が、スマートフォンの画面で読めるか
- テスト配信:主なアプリ(Outlook モバイル、Gmail アプリ、標準のメールアプリ)で、実際に受け取って確かめる
事前テストの進め方は「訓練のやり方」で解説しています。
報告ボタンの対応
アプリによって、標準の報告機能の有無と使い方が違います。
| アプリ | 公式ヘルプで確認できる報告の機能 |
|---|---|
| Outlook for iOS・Android | Exchange Online にメールボックスがある組織では、組み込みの[報告]ボタンを使える(Outlook for iOS はバージョン 4.2511 以降、Android は 4.2446 以降) |
| Gmail アプリ | Android・iPhone の Gmail アプリで、メールを迷惑メールとして報告する手順が案内されている。「フィッシングを報告」の手順は、パソコン版として案内されている |
標準のメールアプリなど、表にないアプリで報告の機能があるかは、アプリや端末によって変わります。報告ボタンが使えない社員のために、決めた報告用アドレスへ転送するなどの方法を用意し、スマートフォンでの手順も案内しておきます。訓練サービスごとの対応状況は、このページの下の表にまとめています。
注意点
送信元での見分けを教えすぎない
警察庁と IPA は、スマートフォンのメールアプリでは、送信元の名前やメールアドレスの表示項目がパソコンより少ない場合があり、メールの真偽の判断はより一層難しくなると注意しています。そもそも送信元の表示は偽装が簡単なため、送信元だけで本物かどうかを判断するのは難しいとされています。
訓練の後の教育では「送信元を見れば見分けられる」とだけ伝えず、次のような行動を教えます。
- 心当たりのないメールのリンクは、タップせずに報告する
- 本物かどうか確かめたいときは、メールのリンクではなく、公式サイトなど確かな方法で確かめる
IPA は、URLのリンクが文字だけでなく画像に仕込まれている場合もあるとして、画像もタップしないよう呼びかけています。
警告の表示が違う
Google は、Gmail の警告バナー(黄色のボックス)は Web 版の Gmail にだけ表示され、サードパーティ製のアプリには表示されないとしています。パソコンで見えた警告が、スマートフォンでは見えないことがあります。
結果の読み方
部署ごとの結果を比べるときは、どの端末で読む人が多いかも添えて振り返ると、次の教育を考えやすくなります。文面の作り方は「訓練メールの文例・件名の作り方」で解説しています。
まとめ
- スマートフォンは送信元の表示が少ないことがあり、警察庁と IPA は、真偽の判断がより難しくなると注意している
- 訓練メールを届ける設定はメールサーバー側で行う。主なアプリで実際に受け取り、リンク先の表示も確かめる
- Outlook for iOS・Android は、対応バージョンで組み込みの[報告]ボタンを使える。Gmail アプリは迷惑メールの報告手順が案内されている
- 報告ボタンが使えないアプリのために、転送などの報告方法と、スマートフォンでの手順を用意する
- 教育では送信元の見分け方だけに頼らず、「タップせずに報告する」行動を教える
スマートフォンのメールアプリで報告ボタンが使えるサービス
当サイトで調べた49サービスのうち、メール画面から報告できる仕組み(ボタン・アドイン・転送)を公開情報で確認できた14サービスについて、スマートフォンのメールアプリへの対応を公式サイト・公式ドキュメントで確認しました。
| サービス名 | スマートフォンのメールアプリ | 補足 |
|---|---|---|
| 情報漏えい防ぐくん広告 | 公開情報で確認できた | Outlook(Web・新旧・Mac・iOS/Android)とGmail(ブラウザ・アプリ)。ほかに転送で報告も可 |
| Cofense(NRIセキュア) | 公開情報で確認できた | Cofense Reporter:Office 365のOutlook(iOS/Android含む)とGmailに対応 |
| セキュリオ | 公開情報で確認できた | Outlook(Web・デスクトップ・新しいOutlook・iOS/Android)とGmail。オンプレは事前相談 |
| Sophos Phish Threat | 公開情報で確認できた | Outlookアドイン(Windows・Mac・Web・モバイル)。Gmail非対応。モバイルはM365のみ |
| KnowBe4 | 公開情報で確認できた | Outlook(従来・新しい・Web・Mac・モバイル)、Exchange 2013/2016、Gmail |
| Proofpoint ZenGuide | 公開情報で確認できた | PhishAlarm:Outlook(Windows・Mac・Web)、Exchange 2013〜2019、Gmail |
| HENNGE One(Tadrill) | 公開情報で確認できた | Outlook(Web・新しいOutlook・モバイル)とGmail(ブラウザ・アプリ)。従来のOutlookは対象外 |
| Microsoft Defender 攻撃シミュレーション トレーニング | 公開情報で確認できた | Outlook組み込みの報告ボタン(Web・Windows・Mac・モバイル)。オンプレは報告数を集計不可 |
| IRONSCALES | 公開情報では確認できず | M365のOutlookとGmailで報告ボタンが使える。モバイル・オンプレは公開情報では確認できず |
| SPC 標的型メール訓練 | 公開情報では確認できず | 報告は添付ファイルとして転送か専用Webサイトで行う。報告ボタンは公開情報では確認できず |
| KIS MailMon | 公開情報では確認できず | 報告は報告サイトへの登録か添付形式での転送。報告ボタンは公開情報では確認できず |
| Selphish(セルフィッシュ) | 公開情報では確認できず | M365のOutlookとGoogle WorkspaceのGmailに対応。スマホ・オンプレは公開情報では確認できず |
| ヤグラ アウェアネス | 公開情報では確認できず | OutlookとGmailの報告アドインありと記載。対応するメール環境の詳細は公開情報では確認できず |
| WideAngle セキュリティ教育&メール訓練(NTTドコモビジネス) | 公開情報では確認できず | KnowBe4のPhish Alertボタンを使う。本サービスでの対応環境は公開情報では確認できず |
○=公開情報で確認できた ?=公開情報では確認できず —=非対応の記載あり。確認日:2026-09-27。表にないサービスは、メール画面から報告する仕組みを公開情報で確認できなかったものです(その機能がないという意味ではありません)。情報漏えい防ぐくん以外のサービスは比較のために紹介しており、当サイトは報酬を受け取っていません。
参考にした情報
- フィッシング対策(警察庁)
- メールの見かけ上の送信元情報を安易に信じないで(IPA 安心相談窓口だより、2021年9月21日)
- URLリンクへのアクセスに注意(IPA 安心相談窓口だより、2021年8月31日)
- 管理者向け Outlook でフィッシングと疑わしいメールを報告する(Microsoft Learn)
- Microsoft 以外のフィッシング シミュレーションと SecOps メールボックスへの電子メール配信の高度な配信ポリシーを構成する(Microsoft Learn)
- Gmail で迷惑メールを報告する(Gmail ヘルプ)
- フィッシング メールを報告する、回避する(Gmail ヘルプ)
- IMAP メール クライアント内の不審なリンクからユーザーを保護する(Google Workspace 管理者ヘルプ)
- 高度なフィッシングと不正なソフトウェアへの対策(Google Workspace 管理者ヘルプ)
記事の内容は2026年9月27日時点の情報です。サービスの料金・機能は比較表で確認できます。