オンプレミスのExchange・自社メールサーバーで標的型メール訓練をするときのポイント
更新日:2026年9月27日 作成:メール訓練比較ラボ 編集部(調査の方法と編集の方針)

オンプレミスの Exchange・自社のメールサーバーで訓練するときのポイント:概要
オンプレミスとは、メールサーバーを自社の設備(社内やデータセンター)で運用している形のことです。Exchange Server のほか、ほかの製品で自社のメールサーバーを運用している組織もあります。
クラウドのメールと比べて、訓練で気をつけたいのは次の3点です。
| 点 | 内容 |
|---|---|
| 届ける | 迷惑メール対策が、メールサーバー・その手前の装置・クラウドのフィルターなど、何か所にも分かれていることが多い |
| 報告 | Microsoft 365 向けに用意されている標準の報告ボタンが、そのままでは使えないことがある |
| 記録 | 途中の装置がリンクを検査すると、押していないのに「クリック」と記録されることがある |
最初に、インターネットから社員の受信トレイまで、メールがどの装置を通るかを図にしておくと、設定の漏れを防げます。
訓練メールを確実に届ける設定
Exchange Server の迷惑メール対策
Exchange Server 2016・2019・Subscription Edition には、標準の迷惑メール対策があります。Microsoft は、エッジ トランスポート サーバー(社外との境目に置く中継用のサーバー)がない組織や、ほかの迷惑メール対策を通していない組織では、メールボックス サーバーで迷惑メール対策を有効にするのが通常だとしています。どちらで判定しているかで、訓練メールを通す設定の場所が変わります。
公式ドキュメントに書かれている仕組みのうち、訓練メールを通すときに関係するものは次のとおりです。
| 仕組み | 考え方 |
|---|---|
| IP 許可リスト(接続フィルター) | 登録したメールサーバーのIPアドレスからのメールは、ほかの迷惑メール対策の処理から外される。有効期限を付けられる。エッジ トランスポート サーバーで使う機能 |
| メールフロールール | 条件に合うメールの「スパム信頼度(SCL)」を、迷惑メールの判定を通す値(-1)に設定できる |
| マルウェア対策 | マルウェアと判定したメールは既定で削除される。添付ファイルを使う訓練では、事前テストで確かめる |
IP 許可リストに有効期限を付けておくと、訓練が終わったあとに登録が残り続けることを防げます。どの仕組みにどの値を登録するかは、利用する訓練サービスの提供会社の案内に従ってください。設定の手順は、上記の公式ドキュメントにあります。
Exchange の手前にある装置
Exchange Server の手前に、迷惑メール対策の装置やクラウドのメールフィルターを置いている場合は、その装置の許可リストにも登録が必要です。どこで止まったかわからないときは、メールのヘッダーに付く「スパム対策スタンプ」(判定の結果を記録した情報)を見ると、原因を調べる手がかりになります。
自社のメールサーバーが Exchange 以外の製品の場合も、考え方は同じです。製品の公式マニュアルで、送信元を許可する方法を確認します。
報告ボタンの対応
Microsoft が案内している Outlook の組み込みの[報告]ボタンは、Exchange Online にメールボックスがある組織向けの機能です。オンプレミスの Exchange だけで運用している場合は、標準の報告ボタンを前提にせず、次のような報告の方法を決めておきます。
- 訓練サービスが用意する報告ボタン(Outlook のアドインなど)を使う
- 決めた報告用アドレスに、不審なメールを転送してもらう
転送で報告を受ける場合は、転送の手順(添付として転送するかなど)も決めておきます。報告の窓口づくりは「不審メールの報告が上がらない組織の対策」も参考にしてください。訓練サービスごとの対応状況は、このページの下の表にまとめています。
注意点
ハイブリッド構成
メールボックスの一部を Microsoft 365 に移した「ハイブリッド構成」では、注意が必要です。Microsoft は、Microsoft 365 の手前で Exchange Server を経由してメールが届く構成などで、訓練メールを通すための「高度な配信ポリシー」がそのままでは働かない場合があると説明しています。対策として、専用の受信コネクタを作る方法や、訓練メールを Microsoft 365 に直接届ける方法が示されています。
Microsoft の訓練機能の記録
Microsoft Defender の攻撃シミュレーション トレーニングは、オンプレミスのメールボックスにも使えます。ただし、メールを読んだ・転送した・削除したかどうかや、報告した人数は、オンプレミスのメールボックスでは記録されないとされています。
押していないのに「クリック」と記録される
Microsoft は、メールのセキュリティ製品や端末のウイルス対策ソフトが訓練メールを検査すると、予期しないクリックが記録されることがあると説明しています。メールが途中の装置を通る場合は、配信直後にクリックが集中していないか、テスト配信で確かめます。事前テストの進め方は「訓練のやり方」で解説しています。
まとめ
- まず、インターネットから受信トレイまでメールが通る装置を洗い出す
- Exchange Server では、IP 許可リスト(エッジ トランスポート サーバー)やメールフロールールの SCL で、訓練メールを通せる。値は提供会社の案内に従う
- 手前の迷惑メール対策の装置やクラウドのフィルターにも登録する。止まった原因はスパム対策スタンプで調べる
- Outlook の組み込みの[報告]ボタンは Exchange Online 向け。オンプレミスでは報告の方法を別に決める
- ハイブリッド構成では、訓練メールを通す設定が働かない場合がある。Microsoft の案内を確認する
オンプレミスの Exchange の Outlookで報告ボタンが使えるサービス
当サイトで調べた49サービスのうち、メール画面から報告できる仕組み(ボタン・アドイン・転送)を公開情報で確認できた14サービスについて、オンプレミスの Exchange の Outlookへの対応を公式サイト・公式ドキュメントで確認しました。
| サービス名 | オンプレミスの Exchange の Outlook | 補足 |
|---|---|---|
| 情報漏えい防ぐくん広告 | 公開情報では確認できず | Outlook(Web・新旧・Mac・iOS/Android)とGmail(ブラウザ・アプリ)。ほかに転送で報告も可 |
| セキュリオ | 公開情報で確認できた | Outlook(Web・デスクトップ・新しいOutlook・iOS/Android)とGmail。オンプレは事前相談 |
| Sophos Phish Threat | 公開情報で確認できた | Outlookアドイン(Windows・Mac・Web・モバイル)。Gmail非対応。モバイルはM365のみ |
| KnowBe4 | 公開情報で確認できた | Outlook(従来・新しい・Web・Mac・モバイル)、Exchange 2013/2016、Gmail |
| Proofpoint ZenGuide | 公開情報で確認できた | PhishAlarm:Outlook(Windows・Mac・Web)、Exchange 2013〜2019、Gmail |
| IRONSCALES | 公開情報では確認できず | M365のOutlookとGmailで報告ボタンが使える。モバイル・オンプレは公開情報では確認できず |
| SPC 標的型メール訓練 | 公開情報では確認できず | 報告は添付ファイルとして転送か専用Webサイトで行う。報告ボタンは公開情報では確認できず |
| KIS MailMon | 公開情報では確認できず | 報告は報告サイトへの登録か添付形式での転送。報告ボタンは公開情報では確認できず |
| Cofense(NRIセキュア) | 公開情報では確認できず | Cofense Reporter:Office 365のOutlook(iOS/Android含む)とGmailに対応 |
| Selphish(セルフィッシュ) | 公開情報では確認できず | M365のOutlookとGoogle WorkspaceのGmailに対応。スマホ・オンプレは公開情報では確認できず |
| HENNGE One(Tadrill) | 公開情報では確認できず | Outlook(Web・新しいOutlook・モバイル)とGmail(ブラウザ・アプリ)。従来のOutlookは対象外 |
| Microsoft Defender 攻撃シミュレーション トレーニング | 公開情報では確認できず | Outlook組み込みの報告ボタン(Web・Windows・Mac・モバイル)。オンプレは報告数を集計不可 |
| ヤグラ アウェアネス | 公開情報では確認できず | OutlookとGmailの報告アドインありと記載。対応するメール環境の詳細は公開情報では確認できず |
| WideAngle セキュリティ教育&メール訓練(NTTドコモビジネス) | 公開情報では確認できず | KnowBe4のPhish Alertボタンを使う。本サービスでの対応環境は公開情報では確認できず |
○=公開情報で確認できた ?=公開情報では確認できず —=非対応の記載あり。確認日:2026-09-27。表にないサービスは、メール画面から報告する仕組みを公開情報で確認できなかったものです(その機能がないという意味ではありません)。情報漏えい防ぐくん以外のサービスは比較のために紹介しており、当サイトは報酬を受け取っていません。
参考にした情報
- Exchange Server でのスパム対策保護(Microsoft Learn)
- エッジ トランスポート サーバー上での接続フィルター処理(Microsoft Learn)
- Exchange Server のメール フロー ルール アクション(Microsoft Learn)
- スパム対策スタンプ(Microsoft Learn)
- Exchange Server でのマルウェア対策保護(Microsoft Learn)
- 管理者向け Outlook でフィッシングと疑わしいメールを報告する(Microsoft Learn)
- Microsoft 以外のフィッシング シミュレーションと SecOps メールボックスへの電子メール配信の高度な配信ポリシーを構成する(Microsoft Learn)
- 攻撃シミュレーション トレーニングの展開に関する考慮事項と FAQ(Microsoft Learn)
記事の内容は2026年9月27日時点の情報です。サービスの料金・機能は比較表で確認できます。