訓練サービスの提供終了で乗り換えるときの選び方:確認したい4つの点
更新日:2026年9月27日 作成:メール訓練比較ラボ 編集部(調査の方法と編集の方針)

なぜ乗り換えが必要になっているか
標的型メール訓練のサービスは、提供元の事業の見直しなどで終わることがあります。2025年以降も、複数のサービスの提供終了が公式に発表されています。以下は、各社の公式の告知で確かめた内容です(確認日:2026年9月27日)。
| サービス | 提供元 | 公式に発表されている予定 |
|---|---|---|
| 標的型攻撃メール訓練 | NTT東日本 | 新規申込受付の終了:2025年12月17日/サービス提供の終了:2026年6月30日 |
| AQStage 標的型メール攻撃予防訓練サービス | NTT西日本 | 申込受付の終了:訓練は2026年11月30日まで、eラーニングは2026年9月30日まで/訓練メールの送信と集計は2027年2月28日まで、報告書の作成は2027年3月中旬まで/2027年3月末で提供終了 |
| Phish Insight | トレンドマイクロ | 公式のサポート情報で、2025年6月30日に提供終了(EOL)と案内。同社の別製品への移行を案内 |
NTT東日本は、利用中の顧客にはメールまたは営業担当者から順次案内するとしています。NTT西日本も、サービス終了に関する問い合わせ窓口を告知ページに設けています。
いま使っているサービスが上の表にない場合も、契約の更新前に、提供元から終了や内容変更の案内が出ていないかを確認しておくと安心です。
放っておくと困ること
提供終了の案内を受けてから乗り換えを先延ばしにすると、次のようなことが起きます。
- 訓練が途切れる:年間の計画に空白ができ、社内の規程で決めた回数を実施できなくなる
- 過去の結果が見られなくなる:管理画面が閉じると、これまでの開封やクリックの記録を確認できなくなるおそれがある
- 監査や報告で説明できなくなる:IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」は、教育の実施記録を保管し、結果をもとに改善することを勧めています。記録が失われると、前年と比べた説明が難しくなります
- 急いで選んで失敗する:時間がないまま決めると、自社の運用に合わないサービスを選びやすい
申込受付の終了日と、実際に訓練ができる最終日は別に決められていることがあります。AQStageのように、訓練メールの送信と報告書の作成で期限が分かれている場合もあります。告知ページの日付を、項目ごとに書き出しておきましょう。
対策とサービスの選び方:乗り換えで確認したい4つの点
1. 過去の結果データの保管
まず、いまのサービスから結果を持ち出します。
- 管理画面から、どの形式(CSV、PDFの報告書など)で書き出せるか
- 個人別の記録、部署別の集計、実施日ごとの記録のうち、どれを残せるか
- 提供終了の後に、管理画面やデータを見られる期間があるか
書き出せる範囲や、終了後の扱いはサービスごとに違います。わからない点は、提供元の窓口に早めに問い合わせてください。新しいサービスに過去のデータを取り込めるとは限らないため、自社で保管しておく前提で準備するのが確実です。
あわせて、前年と比べられるように、指標をそろえておきます。たとえば「開封率」「クリック率」「報告率」のうち、どれをどう数えていたかをメモしておくと、新しいサービスでも同じ基準で比べやすくなります。指標の考え方は「訓練の結果の見方」で解説しています。
書き出したデータには、社員の氏名やメールアドレスが含まれます。保管場所と、見られる人の範囲を決めておきましょう。
2. 許可リストの設定の引き継ぎ
訓練メールが迷惑メールとして止められないように、メールの受信設定(メールゲートウェイ、Microsoft 365やGoogle Workspaceの設定など)に「許可リスト」を登録していることが多いはずです。
サービスが変わると、訓練メールの送信元のIPアドレスやドメイン、リンク先のドメインも変わります。次の作業が必要になります。
- 新しいサービスが指定する送信元・ドメインを許可リストに登録する
- 本番の前に、少人数でテスト配信して届くか確かめる
- 使わなくなった古いサービスの許可設定を削除する
古い許可設定を残したままにすると、不要な例外が残り続けます。設定の担当者と手順を、乗り換えの計画に入れておきましょう。
3. 運用の形
訓練サービスには、大きく2つの運用の形があります。
- ツール型:自社の担当者が管理画面で文面を選び、配信し、結果を集計する
- 配信代行型:提供元が配信や集計、報告書の作成を代わりに行う
いまのサービスで、誰がどこまで作業していたかを書き出してください。報告書の作成を提供元に任せていた場合、ツール型に移ると担当者の作業が増えます。逆に、文面を自由に作っていた場合、配信代行型では選べる範囲が変わることがあります。
4. 料金体系
課金の方式には、主に次の3つがあります。
- 通数課金:送ったメールの数に応じて払う
- ユーザー課金:対象の人数に応じて払う(期間内は何回でも、という形が多い)
- 定額:人数や回数にかかわらず決まった額を払う
同じ人数でも、年に何回訓練するかで、どの方式が合うかは変わります。前のサービスと同じ回数で比べるだけでなく、乗り換えを機に回数や対象を見直す場合は、その計画で比べてください。初期費用や、教育コンテンツが別料金かどうかも確認します。人数と回数ごとの考え方は「課金方式別 年間費用の試算」で説明しています。各サービスの方式は比較表で確認できます。
こんな場合は早めに動く
次のどれかに当てはまる場合は、提供終了日より前に乗り換えを始めてください。
- 年間の訓練の予定が、提供終了日より後にも入っている
- ISMSやPマークの審査、社内監査が近い
- 許可リストの設定を外部の業者に頼んでいて、作業の予約が必要
- 社内の稟議や契約の手続きに時間がかかる
新しいサービスで最初の1回をテストとして実施し、前のサービスの結果と比べられるかを確かめる期間もとっておくと安心です。
よくある疑問
Q. 過去の結果を、新しいサービスに移せますか?
A. サービスによります。移せないことも想定して、まずは今のサービスから書き出して自社で保管してください。新しいサービスでは、同じ指標で数え直せるかを確認します。
Q. 提供元が案内する後継のサービスにそのまま移るべきですか?
A. 後継のサービスでも、機能や運用の形、料金の方式が変わることがあります。ほかのサービスと同じ観点(データ、許可リスト、運用の形、料金)で比べてから決めるのがおすすめです。
Q. 乗り換えの間、訓練が1回抜けてもよいですか?
A. 社内の規程で回数を決めている場合は、規程との関係を確認してください。空白ができる場合は、その理由と次回の予定を記録に残しておくと、あとで説明しやすくなります。
Q. 乗り換えにどのくらいの期間を見ておけばよいですか?
A. 比較と社内の手続き、許可リストの設定、テスト配信までを含めて、余裕を持った計画にしてください。必要な期間は、社内の稟議の流れや設定の担当者の都合で大きく変わります。
まとめ
- NTT東日本の訓練サービスは2026年6月30日に終了し、NTT西日本のAQStageは2027年3月末で終了予定、トレンドマイクロのPhish Insightも提供を終えています
- 乗り換えでは「過去の結果データの保管」「許可リストの設定の引き継ぎ」「運用の形」「料金体系」の4点を確認します
- 結果データは自社で書き出して保管し、前年と同じ基準で比べられるようにしておきましょう
- 候補のサービスは比較表で、費用の考え方は「課金方式別 年間費用の試算」で確認できます
参考にした情報
- 「標的型攻撃メール訓練」新規申込受付終了、およびサービス提供終了について(NTT東日本、2025年10月1日)
- AQStage 標的型メール攻撃予防訓練サービス(NTT西日本)サービス終了のお知らせ
- Upgrading Phish Insight to TrendAI Vision One Security Awareness(トレンドマイクロ サポート情報 KA-0019595)
- 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版(IPA)
記事の内容は2026年9月27日時点の情報です。サービスの料金・機能は比較表で確認できます。