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警察庁「令和8年上半期のサイバー空間の脅威情勢」の要点と、メール訓練への生かし方

更新日:2026年9月27日 作成:メール訓練比較ラボ 編集部(調査の方法と編集の方針)

この記事は2026年9月10日に公表された資料をもとにしています。

何が公表されたか

警察庁は、2026年9月10日に「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(警察庁サイバー警察局、令和8年9月)を報道発表しました。令和8年(2026年)1月〜6月のサイバー攻撃や、インターネットを悪用した犯罪の状況をまとめた資料で、統計のデータ(Excel)もあわせて公開されています。

この記事では、メール訓練に関係する数値を、本文と統計データで確かめて紹介します。

要点

ランサムウェアの被害は123件で、半期として最多

令和8年上半期のランサムウェアの被害報告件数は123件でした。統計を取り始めた令和2年下半期以降、半期の件数として最も多くなっています。規模別では中小企業が79件、大企業が31件、団体等が13件です。

業種別の上位は次のとおりです。

業種 件数
製造業 37件
卸売・小売業 15件
情報通信業 9件
不動産業、物品賃貸業 9件
医療、福祉 9件
建設業 8件

出典:警察庁「令和8年上半期 サイバー空間をめぐる脅威の情勢等 統計データ」をもとに作成(全体は123件)

アンケートでは、復旧に総額1,000万円以上かかった組織が全体の6割を占め、1か月未満で復旧できた組織は5割弱にとどまりました。

侵入経路はVPN機器が中心で、メールからは少ない

資料の本文は、インターネットに露出した箇所から遠隔操作で侵入する手口が多くを占め、標的型攻撃メールなどの添付ファイルによる感染は少なくなっていると説明しています。統計データでは、令和8年上半期の感染経路(不明・未回答を除く36件)は、VPN機器18件、リモートデスクトップ9件、その他9件でした。過去5年の合算では485件のうち、「不審メールやその添付ファイル」は24件です。

フィッシングは約73万件。見抜きにくくなっている

フィッシング対策協議会によると、令和8年上半期のフィッシングの報告件数は約73万件でした。資料は、AI技術の発達で文章の自然さや偽装の精度が大幅に上がり、見抜きにくいフィッシングが増えているとしています。そのうえで、メール認証や多要素認証などの技術的な対策だけでは十分ではなく、リンクを安易にクリックしないといった日ごろの意識を高めることが重要だとしています。

電話から始まるボイスフィッシング

令和6年秋からは、犯罪グループが企業に電話をかけ、ネットバンキングの更新手続きなどを装ってメールアドレスを聞き出し、フィッシングメールを送る「ボイスフィッシング」による法人口座の不正送金被害が急増しました。令和8年5月には、電話をきっかけに遠隔操作ソフトを入れさせる新しい手口の被害も急増しています。令和8年上半期のインターネットバンキングの不正送金は253件、被害総額は約20億7,000万円(前年同期比51%減)でした。

ニセ社長詐欺は127件、約38億8,000万円

令和8年1月ごろから、経営者などになりすまし、公開されている法人のメールアドレスにメールを送って送金させる「ニセ社長詐欺」が起きています。「新しいプロジェクトのため」などと業務を装ってSNSグループを作らせ、やり取りの中で口座残高を答えさせてから送金させる流れです。1月〜6月の認知件数は127件、被害額は約38億8,000万円で、既遂1件あたりの被害額は約3,100万円でした。

メール訓練にどう生かすか

訓練の目的

ランサムウェアの入口は、VPN機器やリモートデスクトップが中心です。メール訓練は、機器の対策の代わりにはなりません。一方で、フィッシングやニセ社長詐欺は、メールを受け取った人の判断で被害が決まります。訓練の目的は「リンクを開く前に立ち止まる」「怪しいと思ったら報告する」「送金の指示は別の手段で確かめる」に置くとよいでしょう。

文面への反映

  • 社長の名前を名乗り、業務を装ってSNSグループの作成を求める型
  • ネットバンキングやメールサービスの手続きを装い、ログインを求める型
  • 代表アドレスや問い合わせ用など、公開しているアドレスも訓練の対象に含める

文面の作り方は「訓練メールの文例・件名の作り方」で解説しています。

教育への反映

ボイスフィッシングは電話から始まるため、メールの訓練だけでは再現しきれません。訓練後の教育で「電話で聞かれたアドレスに届いたメールも疑う」「送金のルールを社内で確かめ直す」ことを伝えましょう。業界ごとの進め方は「製造業の標的型メール訓練」「金融機関の標的型メール訓練」も参考にしてください。サービスの違いは比較表で確認できます。

まとめ

  • 令和8年上半期のランサムウェア被害は123件で、半期として最多でした。製造業が37件で最も多くなっています
  • 侵入経路はVPN機器が中心で、メールや添付ファイルからの感染は少なくなっています
  • フィッシングは約73万件、ニセ社長詐欺は127件・約38億8,000万円で、メールを入口にした詐欺の被害は続いています
  • 訓練では、なりすましやログインを求める型を文面に取り入れ、報告と別の手段での確認を身につけましょう

参考にした情報

記事の内容は2026年9月27日時点の情報です。サービスの料金・機能は比較表で確認できます。

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